札幌市内の坂沿いの住宅地の端(EDGE)に位置する細長い三角形の敷地。東は道路、南には隣家、そして西側には国有地の雑木林が広がっている。ここは、人の住処と自然との境目ともいえる。
施主夫妻からの希望は、近隣からの視線が気にならず、「西側の雑木林を楽しめるくらしを」との事だった。風致地区内であるが故、道路から3m、隣地から1.5mの外壁後退距離をとった上で、残りの限られた敷地に許される限りのヴォリュームを確保するために細長い三角形の建物とした。道路~隣家側にしつらえた連窓のハイサイドライトからは、近隣の視線をかわしながら朝から日中にかけての光が2階リビング・ダイニングにふりそそぐ。西側には雑木林を借景として存分に楽しめるように、深い庇をもったテラスを生活シーンにあわせ複数もうけた。内部空間はテラスごしに自然豊かな外部空間とつながり一体となる。様々な質の光を取り込んだリビング・ダイニングは、時間の経過と共に色々に表情を変える。
生き生きとした午前中の光、そして陰影感のある午後の光…。そして日が暮れるとあたたかな照明の灯のもと、冬にはストーブの炎のもとにゆったりとした時間が流れていく。
自然豊かな山と幅員27m の道路に挟まれた、80坪程の台形状の敷地。いわば山とマチの境目に60代の男性が暮らす約30 坪の平屋を計画した。
騒音と視線を考慮して、車通りの多い北東前面道路側に対しては開口を極力抑えた上で、プランは南西の山側に開き、デッキテラスを持つ中庭を設けた。内部は使い勝手の良い回遊動線を持つオープンなプラン。高さを抑えた壁や家具によって間仕切ることで、空間に奥行きとフレキシビリティを持たせた。内部空間は山へと開いた中庭とテラスごしに一体となり、30坪を遙かに超えた拡がりと、表通りの喧噪を感じさせない静けさをもった住まいとなっている。
EDGE HOUSE:
リビングよりダイニングを見る。TVボードの裏はキッチンパントリー。
EDGE HOUSE:
エントランスホール正面の階段。ウォルナット厚板のシンプルなハネ出し階段が上からの光にリズミカルな影を落とす。
フモトノヒラヤ:
道路側からの外観夕景。
フモトノヒラヤ:
円山へとつながる
中庭からの外観夕景。
フモトノヒラヤ:
キッチンからリビングを望む。オープンな内部空間は山へと開いた中庭とテラスごしに一体となり、さらなる拡がりを感じさせる。
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