どんな先端技術も基本的な「住宅性能」が確保されなければ、最大限の効果は発揮できません。ヒノケンでは「性能の良い家をつくることが人にも環境にも優しい住まいになる」との理念から、20年以上も前から高断熱・高機密住宅に取り組んできました。
「最先端技術に積極的にチャレンジすることは、他社との差別化につながるだけでなく、住宅業界全体が向上していく上でも大切」と語る日野節夫社長。今回のヒートポンプシステムに限らず、オール電化住宅や樹脂サッシの採用なども、他社に先駆けて導入してきたといいます。
そうした性能へのこだわりを具現化したのが、同社の「ハイブリッド・エコ工法」FP軸組工法の構造帯に硬質ウレタンフォーム105ミリを充填し、さらに外張り断熱としてウレタンボード50ミリを付加。これにより次世代省エネ基準III地域の宮城県にありながら、Q値・C値ともに基準値を大きく上回る I地域レベル(北海道など)という高い住宅性能を実現しています。
また、この基本性能にヒートポンプ式放射型冷暖房を組み合わせることで、省エネ効果はさらにアップ。少ないエネルギーで家中隅々まで快適温度に保ち、CO2排出量は次世代省エネ基準住宅のなんと半分以下となっています。
井戸の水が冬温かく夏ひんやりと感じるのは、地表より地下のほうが温度変化が少ないため。この自然の力を活用したのが「地中熱ヒートポンプシステム」です。地中と地熱の熱交換によって、省エネを図る方法です。
「10年以上前から興味を持っていましたが、工事費や設備機器のコスト面で断念。今回のEさん宅で導入することができました」と語るのは、ヒノケンの日野社長。「ヒートポンプといえばエアコンなど空気熱を利用したものが一般的ですが、外気温の変動による影響を受けやすく厳冬期には効率が悪くなる。またクリーンエネルギーの代表格である太陽光発電も、天候や季節に左右されやすいもの。その点、地中熱は一年を通じて安定しているのが最大のメリット」とのこと。東北のような寒冷地では、特に有効なシステムなのだそうです。
Eさん宅では敷地内の地下50メートルの深さまで掘削した穴に、熱交換用パイプを2本設置。地下温度約17度の場所から、暖房時は地上のヒートポンプを使ってその熱を取り込みます。逆に、冷房時には熱を地中に放出することで室内を涼しくします。
「絶対量を確保するには、一般的に延べ100メートルの熱交換用パイプが必要。加えて、水分量の多い地下に掘ることも重要です。土中の水分が多ければ熱容量は大きくなり、融解熱・気化熱として使えるからです。Eさん宅は北上川河口に近く地下水量も多かったので好条件でした」
「真冬でも晴れた日には暖房いらず。朝起きた時も全く寒さを感じません。」と大満足のオーナー・Eさん。TAO建築設計のデザイン性とヒノケンの住宅性能に惚れ込み、念願のマイホームを実現しました。
テラスを囲むような配置のリビングとダイニング、2つの中庭、大きな吹き抜けなど、変化に富んだ間取りながらも一体感があるため「どこにいてもお互いの気配が感じられるんです」と奥さん。
地中熱ヒートポンプという新システムの採用にも、絶対の信頼感を持っていたので不安はなかったといいます。入居して間もないため具体的な光熱費は今後の楽しみですが、担当者いわく「冷暖房費は確実に少ない」とのこと。
ヒノケンでは新モデルハウス(6月オープン予定)にも地中熱ヒートポンプシステムを導入。その詳細なデータや省エネ効果に注目したいところです。
家具、建具、床材はすべて同じタモ材でトータルコーディネート。キッチンの背部には、冷蔵庫や作業台を設けたスペースと食品庫が隠れている。スッキリと見えるカウンター下も収納スペース。
のびやかな吹き抜けを設けたリビング。ゲストを迎え入れる場所として、あえてダイニングとは分けて独立型とした。
現しで仕上げた天井と低めに配した両サイドの窓が、室内に落ち着きと開放感をもたらす。
ガラスで仕切られた浴室。窓からはバスコートが見える。
南側外観。1階は床面まで下げた窓がテラスと室内空間を一体化させ、吹き抜け上部にあたる2階の高窓からは効果的に日射が得られる。窓はすべて高性能の木製断熱サッシ(Low-Eガラス)を採用。木製の外壁は奥さん自ら塗装を手がけたそう。
テラスを囲むような設計に注目。室内空間の延長としてもいろいろ楽しめる。
アーチを描く屋根形状と、「どうしても使いたかった」というEさんこだわりの丸窓が個性的な西側外観。室内の明るさや開放感が想像できないほど、外からの視線はカットし、プライバシーにも配慮している。
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