三毛猫の陽向さんは、獣医師のママとふたり暮らし。NEKOYAと命名されたすてきなおうち、お留守番のときも気持ちよく過ごせるように、ママが建ててくれたんだって。
子猫のヒナちゃんをもらったとき、Kさんは獣医をめざす学生だった。光の入らないアパートで猫とフタリ、ハードな日々もその甘えっ子ぶりに癒された。気がかりだったのは、日中長くヒトリにすること。もっと明るい場所で過ごさせたい、もっと外で遊ばせたい。そんな母ゴコロが、数年後にはNEKOYAとなって実を結んだ。南に面した大きな窓からは、すがすがしい風景と光がたっぷり。テラスの先に広がるちいさな庭は、緑地の斜面に囲われた理想的な空間だ。脱走の心配もなく、思うぞんぶん日光浴させられる。芝には猫草を植え、庭の隅っこには自分用のささやかな野菜畑も。家ができてから4年半、休日に出かけることもめっきり少なくなったという。それにしても、完璧に整理された住空間は新築直後かと思うほど。雑誌や郵便物、テレビのリモコンやケーブルなど、室内を雑然とさせるものが一切ないのだ。Kさんはよほどのキレイ好き?「いえいえ(笑)、ティッシュの箱もケータイも陽向がカジカジしちゃうので、表に出せないんです」。そんな非の打ちどころのない空間で、珪藻土のはがれた壁のコーナーが目に入る。ヒナちゃんのマーキング跡だ。「このキズは直さず残しておきます。いつかこの子がいなくなったとき、思い出してあげられるように」。陽向さん、あなたはまぎれもなく世界一しあわせな猫ですよ。
「ヒナちゃーん、おやつにしようか」
「はーい、いま降りるー」的なやりとりが楽しい
吹抜け空間。
寝室の壁が期せずしてキャットウォークに。
知らないヒトが来たら、とりあえず階段上の
安全地帯から様子を見る。
トイレを済ませてよっこいしょと。
ママの水回りに出られます。
外はあいにくの雨模様。お庭遊びはあきらめて、
ここでゴロゴロしようね。
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