山の手の閑静な住宅街。奥行きのある勾配屋根が、周囲の景観になじみながらも印象的な外観を映し出している。
東西両面に他の建物が近接する細長い敷地。都市ならではの立地条件を受け止めて、周辺との視界をやわらげながら、いかに静かで心なごむ外部空間を確保するか…。暮らしに『静域』を創造することが設計のメインテーマとなっている。
施主は、30 代のご夫婦。いつもお互いの気配を感じられるよう、大屋根のもと各居室をゆるやかにつなげるとともに、『静域』として生み出した 4 つのコートを生かして「外を内に」とりこみ、「内から外へ」拡がる生活空間を生み出した。
薪ストーブの煙突がアクセントになっている吹き抜けのリビング。2面を囲む L 字型のデッキテラスとその向こうに拡がる『南側コート』からは、一日中おだやかに陽が射しこみ、リビングと調和しながら贅沢なほどのゆとり感を彩っている。
カーポートから続く『メインコート』に は可能な限りの開口部を設け、エントランスやワークスペース、ダイニングをここちよい開放感で満たした。居住空間の中央部には『バスコート』。まっすぐに延びる土間やバスルームにやすらぎが香り、暮らしに和の風情がとけこむ。
そして『エントランスコート』は、家の顔である外観デザインを引き立てながら、訪れる人たちに「ようこそ」の気持ちをやさしく語りかけている。
都市に暮らす。のびやかに暮らす。外と内の一体感をさりげなく愉しむという「ゆたかさ」が暮らしに拡がっている。
中央に位置するバスコートを望む浴室
エントランスから続く土間。右側の壁の向こうはワークスペース。
ゆったりとした居間には薪ストーブが。さまざまな生活シーンを楽しめる仕掛け。
居間から上る階段。壁の代わりにパネルヒーターを設置。
2階吹き抜け越しに居間を見る。
家具のように繊細な造りの造作キッチン。
敷地裏側の外観。
Copyright(c) TAO建築設計. All Rights Reserved.