「厳しい冬の寒さから、いかに暮らしを守るか」。北国の住宅は長い間、この命題と闘いつづけてきました。住宅には、いわば「シェルター」としての機能が求められ、断熱性能、気密性能の向上に力を注いできたのです。
建材、工法などの進化はめざましく、いまでは冬でもあたたかく、快適な北国住宅が続々と誕生しています。高断熱・高気密・高性能の住宅が、その先にめざすものとは…。私が、何よりも大切に抱きつづけているのは、「ゆたかな暮らし」の提案です。そのメインテーマとなっているのが「外と内のつながり」。外部のような内部空間、あるいは内部のような外部空間をしつらえることで、のびやかな空間に、さりげなく気持ちのゆとりと遊び心がとけこんでいき、日々の暮らしに愉しさがあふれる、そんな住宅をカタチにしたいと考えています。
かつては遮断することが課題であった「外部空間」を「内部空間」へ取り込み、一体感を演出する住宅には、高断熱・高気密はもちろん、高性能な断熱窓・高度な暖房計画なども欠かせない要素となっています。
このように進化した技術・仕様に支えられ、外と内をつなげながらも、いごこちのいい空間を生み出すことができるようになりました。例えば、リビング・ダイニングとひと続きのようなテラスで楽しむ食事やティータイム。バスコートとの一体感を演出するバスルームでは鼻歌まじりで露天風呂気分を。外部からの視界を和らげながら、季節の香りや風を五感で受けとめる開放的な中庭。暮らしのすみずみに、ぜいたくなほどのゆたかさが息づき、家族の愛情と家への愛着がふくらみつづける…。外と内をつなげることで、そんな幸せが幾重にも積み重なっていくのです。
ダイニングからリビング方向。現しの拭き上げ天井や珪藻土の壁が落ち着く空間
ひとつながりのダイニング・キッチン。どこにいても、外との一体感を得られる
寝室の窓からもテラスを望める
小さなバスコートを持つ、明るい浴室
2階からLDKを見下ろす
テラス入り口。扉を閉めると視線は通らない
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