リビング・ダイニング・キッチンを家の中心に据え、伸びやかな一体空間として設計するケースが多い。その際に気を付けているのはキッチンが主張しすぎないこと。
全体のテイストと合わせて、家具や建具と同様にカスタムメイドキッチンとしている。フレキシブルに仕切りを変えられる引き出し収納、毎日ハードに使うからこそ妥協しないソフトクロージングレールなどの家具金物や、キズが気になり難い仕上げを施したステンレスの厚板の天板など、製作を重ねていく中でフィードバックされていった工夫を随所にちりばめている。
加えて大切な要素が動線である。オープンキッチンでの共通した悩みは、「空間に対して開きたいが、その反面で冷蔵庫やレンジといった家電など、ごちゃごちゃとしたモノはあまり見せたくない。されど扉などを付けていちいち開閉するのは使いづらい…」ということではないだろうか。
そこで考えたのがウォークイン式のパントリー。これなら動線を長くせずに必要なモノをすっきりと収めることができ、収納もたっぷりと取れるので採用することが多い。
美しさと機能性の両立が求められるキッチンの設計は難しいからこそ面白く、やりがいのある大切な要素となっている。
造作のキッチンやパントリーは面材を統一し、無垢の床や珪藻土で仕立てた空間にしっとりと溶け込んでいる
パントリーは引き戸で目隠し可能。レンジフードのダクトは水平方向に出しているので、吹き抜けの空間がより開放的に見える
パントリーからリビングを見る
キッチン正面には、上段と下段、計6面の前倒し式収納を装備
パントリー側面にある収納。可動式の棚板を手前と奥の2段に取り付けられるのが便利
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