今年15歳になる雄猫、クロはわがオフィスの一員。彼が招き猫となっているのか時々、私のもとに猫と暮らすための家を設計してほしいという依頼が舞い込みます。
猫は単独行動を好むハンター。犬のように飼い主に精神的な依存をすることもありません。また、獲物を狙って長時間待ち伏せすることも平気です。 依存せず、待つことも苦痛に思わない猫は、仕事などで忙しい人にとってまたとない暮らしの伴侶となるでしょう。
生来、ハンター気質をもつ猫は狭い所や高い所が大好き。それゆえ、自らの身を隠しながら、家族や家の中を見渡すことができる基地のような場所を設けてあげるととても喜びます。 また、吹き抜けに猫だけが足を踏み入れられるキャットウォーク、物見窓などをリビング吹き抜けに取り入れることも。外が好きな猫のために、リビングテラスを自由に出入りできるようにした事例も。 また、猫は垂直移動が得意。このため、出入り自由のテラスを囲う外構は余裕を持った高さに設定する、キャットウォークから飛び降りないようにペンダント式の照明器具は避けるなどの配慮も、一方では必要です。
そうしたちょっとした気遣いのようなものが、猫にはたまらなくうれしい、らしいのです。もちろん、猫の種類や性格、年齢などによって、喜ぶツボはそれぞれ。 お施主さんとの綿密な打ち合わせから、個性を見極め、心地よい距離感を計る。これこそが、猫が暮らしやすく、愉しい家をつくる秘策です。
小樽市の高台に建つ「HIRAYA」には、ロフトへつながる 猫棚と呼ばれる専用のステップが。荷物の上げ下げには人 間もこれを借用
浴室の隣にはトイレを設置。猫がいつでも出入り可能で、 かつ人間も気にならないよう、最小限の抜け道を準備
猫と暮らすコートハウス「CATS HOUSE」。リビング・ダ イニングの上部を横切る梁は、ロフトから猫だけが出入り できるような仕掛けか
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