札幌市内にある約24坪のほぼ正方形の敷地。周りには古くからの住宅が立ち並び、道路をはさんだ西側は公園となっている。オーナーは30代のご夫妻+愛犬で、カーポートには車以外にご主人の趣味のバイクが3台と、住居に加えて奥様のトリミングサロンを、との希望であった。
限られた敷地にこれらの条件を盛り込んだ上で、伸びやかで豊かな空間をいかに造り出すかがテーマとなっている。
目一杯ヴォリュームをとるためのシンプルなキューブは、中央を貫くらせん階段のまわりに各部屋を配し、ムダの無い、機能的な動線とした。らせん階段の真上にしつらえたハイサイドライトからの光は時間と共に内部空間に様々な表情をもたらす。採光を確保した上で、近隣が邪魔にならないよう、そして公園の景色を切り取るように、注意深く開口を決めていった。キューブの2階部分には性格の異なる2つのテラスを挿入しており、1つは公園を、1つは空を切り取り、つながっていく。
らせん階段でゆるやかに仕切られたオープンなリビング、ダイニングキッチン、フリースペースはそれらの半屋外空間とあいまいにつながり、驚くほどの拡がりと楽しさを生み出している。
オーナー夫妻お気に入りのイームズの家具や趣味の品々が置かれた「INUYA」では、彼ららしさにあふれた、豊かな生活が送られている。
ハイサイドライトをもったキューブへの外部空間の挿入の仕方、開口部の取り方を変えることで、このプランは様々な敷地、与条件に対応可能となる。都市型住居の1つのプロトタイプの提案として、(HAKO'01)と名付けた。
夕暮れ時の外観
周辺の古い住宅街から浮き立つことなく、静かに佇む「INUYA」
建物内部に組み込んだカーポートは、そのまま奥へと抜けられる
奥のガラス壁や上部からの光を受け浮かび上がる、らせん階段の美しいシルエット
住宅の中心を貫くらせん階段と、それを上から照らすハイサイドライト
階段横からリビング・ダイニングを見る。お気に入りの家具にぴったりと合う造作キッチンが美しい
オープンな空間の中で、中央に配したらせん階段が場と場を緩やかに隔てている
L字型に景色を切り取った南西側のテラス
玄関横にあるトリミングスペース
寝室へ入る動線上に水まわりを配置した
隣地からの視線を避け、空だけが見える南東のバルコニー
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